こころ

孤独な戦いは死ぬまで続く

見えないバリア

今働いている会社は、経営状態も経営者の思想も、会社の仕組みも、とてもいい会社だけれど、私にとってはより孤独と虚無を感じるような場所だ。

みんなで作っていこう!やれることをやれる人がやって助け合おう!というような全体的な「優しさ」っぽい空気の中に、空気を読む・過干渉になりすぎない、ゆえにうまの合う人と仲良くやるというものが含まれている。

その場所にうまく適応できない場合、孤独感が一層増す。空気を読みあい、うまく噛み合えなければ、自然とさようならするような関係なのだ。それか、一生懸命気が合うふりをするか。

それは、幼い頃に祖母の家で見ていた田舎のムラにちょっと似ている。見た目上は、豊かでのどか見えるけど、目に見えない縄張りに支配されているかのような。

会社の評判が良いために、謎の仕事の依頼やひと絡みしたいから会わせて欲しいなんて声掛けも来るようになった。会社にとってはいいことだけれど、私にとっては友人や知人が金儲けのために私という人脈を利用して会社に取り入ろうとする姿勢に辟易することも増えた。

元々友達と思われていなかったかもしれないけれど、そういう時だけお願いしてきて「仲良くしよう。これからもよろしく」なんて言われて、嫌な気がしない訳ない。下心が透けて見えてしまう。

きれいにラッピングされた会社のバリアに守られながらも、知らない間に私は傷つけられてもいたと思う。

合う合わないは個人が決めなくてはならない

これは、転職するからといって、今の会社の悪口を言って自分を正当化したい訳ではない。

ただ、毎日「これでいいんだろうか」が私の中に渦巻いてやまない。今日という日を充実して過ごせている気がしない。そんな思いを分解して、次に進まないと、また同じようなことを繰り返す気がしてしまったから。

今まで会社で働くということが、自分にとってどんな価値観を持っていたかを思い返してみる。

新卒社員の頃

新卒社員の頃は、とにかく会社で働くということがわからず働いてみることが大切だった。大企業だったから、給料は少なくても仕組みや制度は整っていたし、安定した環境でメンタルヘルスがやられることもない場所だった。

ただ、会社のブランドが大きすぎて殿様商売が多く、自分の職能を生かすよりも、会社のブランドで売り上げが立つような会社だった。

自分はこのまま「井の中の蛙」で終わってしまうのが怖くて、5年ほど勤めた後に転職を決意した。

初めての転職

初めての転職先では、謎の派閥のようなものに巻き込まれ、職能を活かすよりも、どのような人と立ち回るのが良いのか?ということを考える日々を過ごした。

上の人のいうことは絶対という空気感の中で、雑用からなんでもするようなポジションで、夜遅くまで奴隷のように働いては、終わらないMTGを繰り返し、精神的にも肉体的も限界を迎えた。

今の会社

そして今の会社に転職。給料は減ったけれど、安定した環境で働けるようになった。でも日々に張り合いがない。

前みたいに奴隷のように働きたいわけじゃない。だけど、見えないバリアが私を包んでは苦しめている。それは、「空気を読んで進めるのが良い、私は決めることができない」という思いに囚われているからだと思う。

ここでも、本来自分の職能ではない仕事をしているし、「なんでも言っていんだよ」という表向きの雰囲気の中で、これを言ったとて雰囲気が悪くなることしか想像できない…という空気感に、なかなか自分というものを出すことはできない。会社の規模感からも現実的にできないことの方が多い。

オープンそうな雰囲気の中に、うまく馴染めない自分が、より孤独感や虚無感を感じてしまう。会社からしたら矛盾した存在になっている。うまく馴染めていない。

私はわがままなのか?

私の行動を振り返ると、一般的な優良企業に新卒入社して転職してブラック企業に行き、また評判の良い企業に転職したのに、また文句言っている人みたいになっているけれど、それはわがままなことでしょうか?

そもそも「わがまま」とは誰に対するものなのか?どの会社に勤めようが世間様に迷惑をかけることもない。私が私にわがままになるのはむしろ歓迎すべきことだとも思う。

どんなに周りが「そんな良い会社やめて大丈夫?」と言ったとしても、やはり自分に合っているかどうかは自分しかわからないのだ。

永遠の孤独

よく「経営者の孤独」なんて言葉が出るけれど、会社員だって孤独だ。どの組織に行っても、全てオールオッケーなんてあり得ないこと。基本的には、分かり合えないことを前提に生きていた方が心持ちが楽だ。

そして自分の孤独さ加減を理解して、すり合わせられる部分を可能な限り大きく広げていくのが孤独を弱める方法かもしれない。

今回のことで言えば、私はその孤独をこの会社でどうすり合わせたらいいのか答えが全く見つからなくなってしまったことが一番の問題なんだと思う。

せめて会社に話を聞いてくれそうな人が一人いたら違ったかもしれない。けれど、大きな会社ではないし、すでに仲の良いコミュニティが出来上がっているような状態で、今更どこに属することもできないし、擦り寄る元気も出ない。

ある程度の大きさの会社なら、他部署に行ってリセットも可能だし、いろんな人に出会って環境を変えていける素養がある。そして、自分の職能を何かしらの形で生かしていける土壌があるというところに希望が持てる。

正直、転職してもどうなるかわからない。また同じ問題や別の問題に突き当たると思う。それでも、孤独との向き合い方を自分で理解していれば、また別の答えを見つけていけるような気がする。