代々自営業の家庭で育つ
祖父母もその子供である私の父も、自営業という家庭で育ちました。会社で勤めている子の家庭を羨ましいと思ったことは何度かあります。
自営業の家庭は、お金に対してすごくシビアです。毎月のお給料が変動するので、シビアにならざるを得ない。その代わり儲かった時には、大盤振る舞いでみんなでお寿司を食べたり。今思えば、祖父母も親も浮き沈みの激しいお金の管理をしていたのだなと思います。
お金や仕事について勝手に身についた価値観
そんな家庭で育った私ですが、親からはよく「稼げる仕事につけ。医者か弁護士など資格のある高給の仕事についたほうがいい」などと言われることが多く、それがすごく嫌だった思いがあります。親からすれば、自分たちは自営業をしてきたからこそ、その浮き沈みの激しい働き方に対して子供にはそうなってほしくないという思いからだったとは思うのですが、子どもの頃の自分は「今からちゃんと勉強しないと稼げる人になれない」という脅しのようにも感じました。
反撃するように、文学や美術にのめり込むようになった学生時代。お金に対して「お金を儲けたい」と思うなんて卑しいことだ、といつの間にか思うようになりました。さらに投資についても、「自分の私欲のためにお金を増やそうだなんて嫌な感じだし、ギャンブルのようだ」という思い込みをするまでになりました。
社会人になって自活するようになって
社会人になって自活するようになると、「明日生きるお金がない!」という状況にまさに直面することになります。ここで初めてお金の大切さを知るのですが、何を勘違いしていたのか、クレジットカードという魔法のカードでお金はなんとかなる、いつか自分が仕事で成功して地位も上がればお金もついてくると勘違いしていました。
その代わり、仕事に求めるものは自己実現や夢の実現のようなものになってきます。ちょうどスマートフォンなどの普及がめざましくなった時代に就職を迎えた私は、イノベーションを起こして時代の流れにうまく乗って成功するという自分のビジョンを描くようになります。
仕事は基本的には自己実現の場所ではない
しかし、10年近く働いて学んだことは、働くというのは、ベースとして「お金を稼ぐ」ということであるということです。お金がなければ、自己実現もできません。また、自己実現をしようと思っても、雇われる側である以上、会社がやりたいことと自分のやりたいことが完全に合致するというのは基本的にあり得ません。会社と自分を重ねて努力しても、理解してもらえない・うまくいかないというのは、そもそも会社で自己実現をしようとしていたことが間違っていたのです。
これから
30代のこれから、会社員を続けるのか、独立して一人で仕事をしていくのか、まだ自分の中で答えは出ていませんが、「働くというのは、基本的には、生きていくためのお金を稼ぐ」ということだけはわかっています。
お金との付き合い方と一緒に、働くことの現実をきちんと受け入れ、自己実現というのは別の方法でできるようにしていきたい。
今の私にとっての自己実現とは、「自然があって、豊かな人間関係と心で、健康的に生きること」です。
お金というツールとそのツールを得るための「働く」ということが、今の私の仕事に対するスタンスと価値観。きちんと自分の中で分析してアレンジしながら、自己実現をしていきたいです。